夫婦関係が悪化する原因の一つに、コミュニケーションの悪化があげられます。コミュニケーションが悪化するパターンは概ね決まっています。
相談に来られる夫婦の多くが、ケンカのきっかけは些細なことと言います。直近のケンカの内容を聞いても、きっかけは思い出せないほど些細なこともめずらしくありません。以下の段階を経て、些細なきっかけが大事に発展します。
第1段階:相手の言動について批判する
「その言い方はひどいと思う」
「ちゃんと話を聞いて」
最初はこのように、相手の具体的な言動に対して不満を述べるところから始まります。ここで終われば問題ありません。
私を主語にして伝えるのが好ましいと聞いたことがあるかもしれません。「(あなた)そんな言い方しないでよ」と「(私)その言い方は傷つくわ」は同じ意味ですが、後者のほうが素直に受け入れやすいと感じる人が多いです。
「(私)その言い方は傷つくわ」と言ったとしても、表情や口調によって変わります。「(私)その言い方は傷つくわ!」と「(私)その言い方は傷つくわ…」では、伝わり方は違うはずです。
相手の言動に不満を感じることあるのは当然です。その不満を相手に伝えるのも問題ありません。むしろ、数ヶ月、数年もガマンを重ねてある日、一気に相手にぶつけるほうが危ういです。
第2段階:人格を非難する
相手の人格を非難するのが悪化に向かう最初のステップです。
「あなたは本当にひどい人」
「他人の話をちゃんと聞かない人」
感情的になると、このような言葉になることが多いです。冷静に言われると、かえってキツいかもしれませんが。。。
「いつも、そんなひどい言い方をする」
「決して、他人の話を聞こうとしない」
「いつも」「決して」「また」などの言葉を使って人格を非難することもあります。言われたほうも感情的になって、以下のような言葉が発せられます。
「人の人格を決めつけないで」
「たまたま忘れただけ。いつもじゃない」
話が本題から外れていきます。
第3段階:家族の悪口を言う、または脅迫する
「お義母さんも無神経なこと言うよね。似てるね」
「あの家庭で育ったから仕方ないよね」
書きながら言われている自分をイメージして、イラッとしてきました(笑)。こうなると泥沼ですね。言い方が不快だったというきっかけは忘れ去られています。
「もう、君とはやっていけない」
「離婚だ」
エスカレートすると、関係を終わらすなどの脅迫がなされることもあります。
ちなみに、離婚の覚悟がないのに離婚を口にするのは避けることをおすすめします。相手が受け入れて元に戻れなくなるケースがあります。
第4段階:暴力が振るわれる
当カウンセリングルームにも夫婦間暴力の相談に来られる方がいらっしゃいます。多くの方は、人生で暴力を振るった経験がない方です。生まれて初めて手を出したのが妻(または夫)という方です。
連日夜中まで言い争い。自分をコントロールできなくなって思わず手が出てしまった。手を出すのは口で負ける側。追い込まれて手を出してしまう。一度手を出してしまうと二度目以降のハードルが低くなる。そんな話を聞くことがあります。
経緯はともかく、パートナーに暴力を振るったらDVです。暴力を振るった側の100%の非が決定します。異論はありませんが、経緯を知ると、切なさを感じることがあるのも正直な気持ちです。
夫婦間にて感情のコントロールがむずかしいと感じたら、カウンセラーなどに相談することをおすすめします。私である必要はありません。家族療法のカウンセラーなら、人が問題ではなく、問題を作る関係があると考えます。夫(妻)が悪いという話にならないので安心感があると思います。
話が大きくそれましたが、失敗するパターンを知っていれば、失敗を防ぎやすくなるはずです。参考にしていただければ幸いです。