
執筆者:山崎 孝
公認心理師・ブリーフセラピスト・家族相談士
私たちは日々、状況や環境の変化、ストレスといったものに直面します。これらにうまく対応し、バランスを保ちながら生活していくことが「適応」です。適応障害は、この「適応」のプロセスがうまくいかない時に起こる問題です。
適応障害とは、日常生活において、環境の変化やストレスに適応できず、心身のバランスが崩れて社会生活に支障が生じた状態を指します。
うつ病に比べて症状が軽度な場合が多く、うつ病の手前と考えられています。ただし、うつ病に移行する可能性もあるため早めの対処が望まれます。
うつ病の原因が多岐にわたるのに対して(原因がない場合もある)、適応障害はストレスの原因が明確です。主な原因は、仕事、異動、転職、入学、家庭、病気、死別など、日常生活上における出来事です。悪化した夫婦関係が原因になることもあります。
症状は人によって異なりますが、一般的には不安、抑うつ、集中困難、睡眠障害、仕事や日常生活の業務における機能の低下などが見られます。ストレス要因が取り除かれたり、適応できるようにサポートを受けることで症状は改善します。
症状は状況やストレス要因、個人の性格によって様々ですが、おおよそ以下のようなものが挙げられます。
これらの症状は多くの場合、ストレス要因に適応できるようになると徐々に改善していきます。
適応障害の治療は、ストレスの原因の除去(環境調整)とカウンセリング(心理療法)が中心となります。補完的に薬物療法が行われます。
ストレスの原因の除去とは、上司との関係がストレス要因であれば、異動という手段が取られます。カウンセリング(心理療法)では、ストレス対処法を身につけるサポートを行います。セルフケア力の向上を目指します。
当カウンセリングルームでは、ブリーフセラピーと認知行動療法によるサポートを行っています。
共感
うつ病と同様、励ましは禁物です。本人はがんばった結果、適応障害と診断受けました。味方となって安心感を与えるのが基本です。
改善点を指摘しない
一緒に暮らしているパートナーですから、コミュニケーションなどの改善点を指摘したくなることがあるかもしれません。その指摘内容は正しいかもしれませんが、その指摘を行うにふさわしいタイミングは医師など専門家と相談するのが望ましいです。
一緒にクリニック・カウンセリングへ行く
パートナーも同席すると、本人が上手く説明できないことをサポートできる機会があるかもしれません。逆も然りで、医師やカウンセラーに直接見通しやアドバイスを聞くことが可能です。
がんばりすぎない
パートナー自身ががんばりすぎないことです。外部資源も利用しましょう。以下は行政の相談窓口です。
●電話相談窓口|困った時の相談方法・窓口|まもろうよ こころ|厚生労働省
●全国精神保健福祉センター一覧│全国精神保健福祉センター長会
●大阪府/電話相談(こころの電話相談・若者専用電話相談・こころの健康相談統一ダイヤル)
●こころの健康相談 豊中市
●こころの健康相談|吹田市公式ウェブサイト
当カウンセリングルームでは、家族療法・ブリーフセラピーと認知行動療法を用いて夫婦・カップルの問題解決を支援しています。
ブリーフセラピー・家族療法では、問題の原因を個人内ではなく、コミュニケーション(相互作用)によって維持されていると考えます。相互作用の変化を促して問題の解消・解決を目指します。原因や犯人探しをしない、人にやさしいカウンセリングです。
認知行動療法は、認知(考え方、物事の捉え方)と行動のパターンを改善することで問題の解決を目指します。お互いの気持ちや考えを理解し合うことにおいて、とても役に立つ理論です。セルフケアなど様々な場面で活用されています。