夫婦・カップルカウンセリングで何をするのか

執筆者:山崎 孝
公認心理師・ブリーフセラピスト・家族相談士

夫婦・カップルカウンセリングで何をするのか?

「カウンセリングって、具体的に何をするんだろう」

相談を検討している方からよく聞かれる疑問です。「ただ話を聞いてもらうだけ?」「二人で言い争いになってしまわないか」「何か宿題が出るのか」——イメージがつかみにくいために、一歩踏み出せないでいる方は少なくありません。

このページでは、夫婦・カップルカウンセリングのセッションで実際に何が行われているのかを、できるだけ具体的にお伝えします。

カウンセリング全体の概要は、以下の「夫婦・カップルカウンセリングとは」のページをご覧下さい。

合同面接と個人面接 ― どちらで受けるか

夫婦・カップルカウンセリングの基本形は、二人が一緒に参加する「合同面接」です。ただし、パートナーが参加できない・参加を希望しないといった事情がある場合は、一人で受ける「個人面接」も可能です。

このページでは主に合同面接で行われることをお伝えします。一人で受ける夫婦カウンセリングについては、以下のページで説明しています。

カウンセリング中、実際に何をするのか

カウンセリング中に行われていること

セッションは大きく初回面接と継続面接に分かれます。初回は状況の整理と目標の確認、継続面接ではパターンの発見と変化への取り組みが中心になります。

初回面接 ― 状況を整理する

初回の面接では、まず現在の状況を整理することから始まります。

「今、何が一番困っているか」「いつ頃からそうなったか」「これまでどうにかしようとしてきたか」 — こうした問いに答えながら、二人の状況の全体像をカウンセラーと共有していきます。

ブリーフセラピーでは、この段階からすでに「変化のきっかけ」を探し始めます。たとえば「うまくいっていた時期はありましたか」「問題が起きていない日はどんな日でしたか」という問いかけが、初回から行われることがあります。これは、解決のヒントが既に、二人の中にあることが多いためです。

また、「どうなったらカウンセリングは成功ですか」という問いも重要です。お二人の目指す方向を明確にすることで、カウンセリングに具体的な方向性が生まれます。

継続面接 ― パターンを変える

継続的な面接では、初回で見えてきたことをもとに、より具体的な取り組みが始まります。

「悪循環」を明確にする

夫婦・カップルの問題の多くは、「悪循環」によって維持されています。

たとえば、

妻が不満を伝える → 夫が黙り込む → 妻がさらに強く訴える →夫がさらに閉じこもる

という悪循環は、どちらか一方の「問題」ではなく、二人の間で起きているパターンです。MRIブリーフセラピーでは、この循環のどこかに変化を加えることで、全体のパターンが変わっていくと考えます。

カウンセリングでは、「今どんな悪循環が起きているか」を明確にすることから始めます。渦中にいるときには見えにくいパターンが、カウンセラーという第三者の目を借りることで見えやすくなります。

「例外」を探す

解決志向アプローチ(SFA)では、問題の原因を追い続けるよりも、「うまくいっている時間・場面」に注目します。

「先週、少し話しやすかった場面はありましたか」
「ここ最近で、ちょっとでもいい感じだった瞬間はありましたか」

こうした問いかけから、既にある「例外(=解決の種)」を一緒に見つけていきます。

小さな変化を試みる

カウンセリングは、セッションの中だけで完結するものではありません。「今週、いつもと少し違うことを一つ試してみましょう」という形で、日常生活の中での小さな変化を提案することがあります。大きな変化は、小さな変化の積み重ねから生まれます。

カウンセリングの現場では

実際のセッションでよく見られるパターンをいくつかご紹介します(いずれも特定の方の情報は含まれていません)。

よく見られるパターン①:「言っても伝わらない」という経験の繰り返し

「何度言っても変わらない」「どうせ分かってもらえない」という気持ちを双方が持ちながら、同じ口論を繰り返しているご夫婦は多くいます。

カウンセリングでは、「何を言うか」よりも先に「どんな状況のときに会話が始まるか」「どのタイミングで気持ちが閉じてしまうか」を確認します。多くの場合、「言い方」や「内容」ではなく「タイミングとパターン」に変化のカギがあることがわかってきます。

よく見られるパターン②:「言えないこと」が積み重なっている

直接的な衝突を避けるうちに、本当に伝えたいことが何年も言えないままになっているケースがあります。

カウンセリングでは、「今まで言えなかったけれど、実は一番伝えたいことは何ですか」という問いを、安全な場でできるようにします。カウンセラーが同席することで、普段の会話では起きてしまう「防御反応」が和らぎやすくなります。

よく見られるパターン③:「どちらが正しいか」の議論から抜け出せない

どちらが正しいかを証明しようとする会話は、解決よりも消耗を生みます。

カウンセリングでは、「正しい・正しくない」の枠から「二人はどうなりたいのか」の枠へと、会話の方向を少しずつ変えていきます。ブリーフセラピー・家族療法視点では、問題の「犯人」を探すことよりも、「どんなパターンが続いているか」を理解することを重視します。

カウンセリングに向いているケース・向いていないケース

夫婦・カップルカウンセリングには、向いているケースと向いていないケースがあります。詳しくは先述した以下の「夫婦・カップルカウンセリングとは」ページをご覧下さい。

よくある疑問

Q
セッションの中でケンカになりませんか?
A

感情が高ぶる場面は起こりえます。ただ、カウンセラーが同席しているため、日常のケンカとは異なります。感情的になりすぎたときはカウンセラーが介入し、建設的な方向に戻す役割を担います。

「ケンカになるかもしれない」という不安は多くの方が持っていますが、実際にはその心配よりも「ここでは話せた」という感覚を持って帰られる方がほとんどです。

Q
カウンセラーはどちらかの味方をしますか?
A

しません。夫婦・カップルカウンセリングにおけるカウンセラーの立場は、どちらの側にも立たない「中立」です。どちらかの意見を支持したり、「あなたが正しい」と判断を下したりすることはありません。二人がそれぞれの視点を持ち寄れる場を作ることが、カウンセラーの役割です。

Q
何回くらいで変化が出ますか?
A

個人差はありますが、当カウンセリングルームでは短期間での変化を目指しており、平均で6回前後で終結するケースが多いです。1〜2回のセッションで終結することもあります。初回のセッションで今後の見通しをお伝えします。

Q
パートナーが来たがらない場合はどうすれば?
A

一人での相談も承っております。一人で参加するカウンセリングでも、「二人の関係をどうしたいか」「自分はどうなりたいか」という問いに取り組むことができます。パートナーをどう誘うかについての相談も可能です。

まとめ

夫婦・カップルカウンセリングは、「どちらが正しいかを決める場」でも「ただ話を聞いてもらう場」でもありません。二人の間で繰り返されているパターンを一緒に見て、そこに小さな変化を生み出していく、実践的なプロセスです。

「うまく話せるか分からない」「何を言えばいいか整理できていない」という状態のまま来られても大丈夫です。整理されていない状態から始めることが、カウンセリングの出発点になります。

関連ページ

このページの執筆者
山崎 孝

大阪を拠点に夫婦・カップルのカウンセリングを行っています。ブリーフセラピー(短期解決型カウンセリング)と家族療法を主軸に、不倫・浮気からの関係修復、フラッシュバック・トラウマ症状のケア、セックスレスの悩み、コミュニケーションの改善などをサポートしています。

自身も夫婦関係に困難な時期を経験したことがあり、その経験が来談者の苦しみへの理解につながっていると感じています。理論だけでなく、当事者としての視点からも、来談者の苦しみに向き合うことを大切にしています。

<資格>
公認心理師(第36732号:厚生労働省)
ブリーフセラピスト ベーシック(B00196号:国際ブリーフセラピー協会)
家族相談士(第2021号:家族心理士・家族相談士資格認定機構)

カウンセラーの詳しいプロフィール

山崎 孝をフォローする
タイトルとURLをコピーしました