
執筆者:山崎 孝
公認心理師・ブリーフセラピスト・家族相談士
「第三者に話しても解決するわけがない」「相手が変わらなければ意味がない」 — そう感じている方、またはパートナーにそう言われている方は少なくありません。
「そもそも、今の関係は修復できるのか」と疑問を持っている方も多いと思います。
このページでは、「意味がない」と感じる理由と、「修復できるのか」という問いの両方を検討します。カウンセリングが効果を発揮しにくい条件も含めて、できるだけ正確にお伝えします。
「意味がない」と感じる原因の多くは、カウンセリングへの誤解か、効果が出にくい条件が重なっているケースです。海外の研究ではありますが、夫婦・カップルカウンセリングによって、約70%の夫婦・カップルに関係満足度の向上が確認されています。
意味がないと感じる主な原因は4つです。
いずれもカウンセリングそのものの限界ではなく、条件の問題です。
パートナーが黙る、投げやりな態度をとる、話し合いを避ける。こうした状況はカウンセリングの妨げになります。
ただし、「黙る」「投げやりになる」という行動は、本人にとって現状が既に解決不可能な状態であり、今以上に悪化させないための対処であること。言い換えると、他に方法がないと思ってる可能性にも注意が必要です。これは、めずらしいことではありません。
カウンセリングの場では、実際にそのようなパターンが再現されることがあります。パターンが再現されることによって、その前後の文脈が明確になり、カウンセラーにとって働きかけるポイントを見極めるチャンスになることがあります。
また、パートナーが最初は乗り気でなくても、カウンセリングが「責める場ではない」と実感することで、回を重ねるうちに関与が深まるケースもあります。
カウンセリングは特効薬ではありません。長い時間をかけて積み重なった関係の問題が、1〜2回のセッションで劇的に変わることは多くありません。
海外の研究では、回数と効果の関係について以下のようなデータがあります。
なお、これは海外のデータであり、日本人にそのままあてはまるかどうかは慎重に考える必要がありますが、極端に違う結果になるとは考えにくいです。参照元を以下に紹介します。
Does couples counseling work?
The evidence says yes—couples counseling is effective for many couples. Multiple studies, including a meta-analysis published in the Journal of Marital and Family Therapy, report that about 70% of couples benefit from counseling (Shadish & Baldwin, 2003). Satisfaction rates are even higher, with up to 98% of couples saying they received good or excellent help (American Association for Marriage and Family Therapy, 2012).
カップルカウンセリングは効果があるのでしょうか?
その効果はデータがはっきりと証明しています。 夫婦カウンセリングは、多くのカップルにとって有効な手段です。『Journal of Marital and Family Therapy』誌に掲載されたメタ分析を含む複数の研究によれば、約70%のカップルがカウンセリングによって関係が改善したと報告しています(Shadish & Baldwin, 2003)。さらに満足度はそれ以上に高く、最大98%のカップルが「質の高い、あるいは素晴らしい助けを得られた」と回答しています(American Association for Marriage and Family Therapy, 2012)。
Does Love Need a Therapist? Evaluating Couples Counseling – Therapy In Barcelona
https://www.therapyinbarcelona.com/does-love-need-a-therapist-evaluating-couples-counseling/ (2026年3月21日閲覧)※ 日本語訳は執筆者による
私の臨床経験では、早期に来談して1〜2回で十分だったというケースもあります。一方で、6回前後で一定の変化を感じる方が多く、問題の状況によってはそれ以上の取り組みを要するケースもあります。問題の状況によって最適な回数は異なります。
資格や経験の年数だけで、カウンセラーの良し悪しを判断できるわけではありません。例えば、次の2点も重要です。
1つ目は治療的同盟です。これは、カウンセラーとクライエントの間に温かく、信頼感と安心感のある、協働的な人間関係が築かれることを指します。どんなに優秀なカウンセラーでも、この関係が築けなければ効果は出にくくなります。
2つ目はカウンセラーの中立性です。夫婦カウンセリングでは、カウンセラーが二人のどちらにも受容的・共感的であることが求められます。「カウンセラーが相手の味方をしている」と感じた瞬間、その場は本音を話せない場になります。
初回のセッションで「この人なら話せそう」と感じられるかどうかを確認することをお勧めします。
問題が深刻化してから来談されるケースは少なくありません。不信感や怒りが長期間積み重なると、変化に必要なエネルギーも時間も大きくなります。
カウンセリングは、問題が重くなる前に始めるほど効果が出やすくなります。「もう少し様子を見よう」と思っているあいだに、関係の悪化が進むことがあります。迷っているなら、早めに相談することをお勧めします。

カウンセリングはすべての状況に有効なわけではありません。次のケースでは、効果が限られるか、別の対応が優先されます。
判断に迷う場合は、お問い合わせ下さい。
修復できるかどうかはケースによって異なります。ただし「修復」を「元通りになること」と定義するなら、むずかしい場合が多いかもしれません。例えば不倫・浮気が起きた場合、起きる前の関係にそのまま戻ることは、現実的ではありません。
大切なのは「元に戻る」のではなく、「(今から)二人の関係を育て直す(築き直す)」という視点です。危機を経験した夫婦が、それを乗り越えることで以前より深い関係を築くことは、決してめずらしくありません。
あります。
「パートナーが来てくれないから意味がない」というのは、よくある誤解の一つです。
家族療法やブリーフセラピーでは、夫婦を「一つのシステム」として捉えます。システムの一部が変われば、全体のバランスが変化します。つまり、一人が変わることで、二人の間で繰り返されているパターン自体が変わることがあるのです。
また、一人でカウンセリングを続けるうちに、パートナーが「責められる場ではなさそうだ」と感じて合同面接に参加するようになるケースもあります。
まずは一人で来談いただくことも、十分に意味があります。

カウンセリングは「問題を解決してもらう場」ではありません。二人の間で繰り返されているパターンを変えるための場です。
自宅での話し合いは、感情的になりやすいものです。カウンセリングの場では、カウンセラーが場を安全に保ちながら対話をサポートします。途中で遮られず、話が逸れても軌道修正できます。「カウンセリングの場では落ち着いて話し合えた」という声は多いです。
夫婦の問題の多くは、二人の間で繰り返されるやりとりのパターンによって維持されています。カウンセラーはそのパターンを客観的に把握し、二人の会話に参加して、悪循環を切断して良循環が起きるように働きかけます。カウンセラーがいなくなっても良循環が続くよう支援することが目標です。
誰にも話せなかったことを言葉にすることで、自分の気持ちが整理されます。パートナーの言葉の奥にある気持ちが見えてくることもあります。自己理解と相互理解が深まることで、関係に変化が起きやすくなります。
問題の状況によって異なります。早期に来談して1〜2回で十分だったケースもあります。6回前後で変化を感じる方が多く、それ以上を要するケースもあります。海外の研究では8〜12回で定着が始まるカップルが約50%というデータもありますが、あくまで目安です(先述の引用文参照)。まずは数回試してみて、カウンセラーと相談しながら続けるかどうかを決めていただければと思います。
あります。一人の行動が変わることで、二人の間のパターン全体が変わることがあります。まずは一人でのご相談から始めていただけます。
はい。夫婦カウンセリングでは、カウンセラーは二人のどちらにも受容的・共感的であることが求められます。一方の味方をすることはありません。どちらかが「責められている」と感じたまま続けることは、カウンセリングの効果を損ないます。気になった場合は、そのことをカウンセラーに伝えて下さい。
はい。対面と同様の効果があることが研究でも示されています。遠方の方やご都合に合わせてご利用いただけます。
先述したように、複数の研究によると、約70%のカップルがカウンセリングによって関係が改善したと報告しています。さらに、最大98%のカップルが「質の高い、あるいは素晴らしい助けを得られた」と回答しています(先述の引用文参照)。
一歩踏み出してみることで、見えてくるものがあります。初回は今の状況を整理することから始めます。まずは一度、ご相談下さい。