フジテレビ社長の記者会見の失敗から学ぶ不倫発覚時の対応

執筆者:山崎 孝
公認心理師・ブリーフセラピスト・家族相談士

隠されているピースがあるパズル


「週刊文春」が報じた中居正広氏のセックススキャンダルに関わるフジテレビの港浩一社長の記者会見は、その内容と形式において多くの批判を浴びました。批判の内容としては、情報公開の制限、説明責任の不履行、危機感の欠如があげられると思います。

  • 情報公開の制限
    • 今回の記者会見は、テレビ局が主催するにも関わらず、テレビ中継が行われませんでした。
    • さらに、記者会見への出席者も、ラジオ・テレビ記者会、東京放送記者会に加盟するメディアに限定され、週刊誌やネットメディア、フリーランス記者は排除されました。
  • 説明責任の不履行
    • 港社長は、記者会見において、トラブルの詳細や社員の関与など、核心的な質問に対して「調査委員会に委ねる」と繰り返し、具体的な説明を避けました。これは、自らの責任を回避し、説明責任を放棄しているという印象を与え、不信感を増幅させました。
  • 危機感の欠如
    • 港社長の発言は、全体的に他人事のような印象を与え、事件の重大性に対する認識の甘さを露呈しました。これについてはフジテレビ社員からも不満や不安の声が上がっているようです。

この記者会見は、初期対応の失敗が更に事態を悪化させる典型例です。これは、不倫が発覚した際も、初期対応のまずさが事態を深刻化させる点で共通しています。

参考ページ不倫・浮気のカウンセリング

発覚したときに、パートナーに対してすべてを正直に伝える人もいれば、できるだけ情報を小出しにして収拾を図ろうとする人もいます。表向きには「相手を傷つけたくない」という言い分があるかもしれませんが、実際のところは自己保身の意識が強いケースが少なくありません。

しかし、その場しのぎの説明や事実の隠蔽は、後になって矛盾を突かれたり、新しい情報が明るみに出たりするたびに、不信感を増幅させることになります。

一度ならまだしも、複数回にわたって「本当はまだ隠していたのではないか」と思われるような状況が続けば、パートナーとの関係修復はますます困難になります。

隠されていた事実が次々と明らかになるほど、パートナーは「自分は大切に扱われていない」という感情を抱き、さらに強い怒りや絶望感を覚えるようになるからです。

不倫に限らず、トラブルの対応においては、できるだけ正確で誠実な情報開示を行うことが重要だと言えます。

「すべてを話す」のは非常に勇気がいる行為ですが、最初にある程度の真実を明らかにしない限り、後からの弁明は言い訳として受け取られ、さらなる誤解や不信を生む可能性が高まります。

もちろん、詳細すべてを伝える必要性や適切なタイミングについては慎重に考えるべきですが、あまりにも隠しすぎたり、曖昧な対応を取ったりするのは逆効果です。

パートナーが最も求めているのは、真摯な反省と自分への配慮であって、表面的な取り繕いではありません。不倫によるショックが大きいほど、誠実さを示す姿勢が欠かせなくなります。

初期対応を誤ると、その後いくら取り繕っても「不信感を植え付けられた」という印象は簡単には拭えません。結果的に自分自身の身を守ることにもならず、むしろ傷口を広げる原因となるのです。

このように、フジテレビの港社長の記者会見が批判を招いた背景は、情報公開の制限や責任説明の回避、そして危機感の欠如という初動の不備が大きく影響しています。

不倫の問題でも同じように、最初の対応が後々の関係を大きく左右します。ごまかしやウソを重ねることのリスクは高く、正直さを示すことが望ましいと言えます。

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