配偶者の不倫相手に会いたいと思ったときに考えるべきこと

執筆者:山崎 孝
公認心理師・ブリーフセラピスト・家族相談士

配偶者の不倫から再構築を選択した人の中には、気持ちの区切りをつけるために、不倫相手に会うことを希望する人がいます。

相手がどのような人であるのか確かめたい。相手から直接謝罪を受けたい、誓約書に署名してもらいたいなどの目的で会うことを望むケースがあります。

当カウンセリングルームでは、基本的に会うことをお勧めしません。しかし、決断するのはご本人です。不倫相手に会って、望み通りの謝罪を得て、再構築への迷いが小さくなったという人が実際にいます。一方、心ない対応をされて、より傷ついた人もいます。

良い結果と悪い結果の比率

信頼できる十分な数のデータがあるわけではありません。Gemini Advanced(Googleの生成AI)の Deep Research 機能を使用してデータを収集・分析したところ、会って良い結果を得たのが30%、悪い結果が70%となりました。

あくまで生成AIが分析した結果です。検証されたデータではないことをお断りしておきます。ただ、30%と70%という数字は、個人的な感覚と一致します。

以下は生成AIがピックアップした良い結果と悪い結果の例です。

良い結果
  • 謝罪を受けたことで気持ちが整理できた
    • 不倫相手から直接謝罪を受けることで、怒りや悲しみが和らぎ、前向きに考えられるようになった事例があります。
  • 相手の状況を理解し、怒りが収まった
    • 相手の事情や背景を知ることで、不倫そのものに対する理解が深まり、気持ちの整理が進むことがあります。
  • 夫婦関係の問題点に気づけた
    • 不倫が起きた背景に夫婦間の課題があった場合、それを認識するきっかけとなったケースもあります。
悪い結果
  • 心ない言葉でさらに傷ついた
    • 不倫相手が謝罪するどころか、不快な言葉を浴びせたことで、感情的な傷が深まった事例も多いです。
  • 夫婦間の不信感が増大した
    • 配偶者が不倫相手との接触に否定的であった場合、不倫された側の行動が夫婦関係を悪化させる結果につながることがあります。
  • 精神的不安定に陥った
    • 面会によってフラッシュバックやトラウマが引き起こされ、心の安定を失うケースも少なくありません。

基本的に会うことはお勧めしません

冒頭でも述べましたが、基本的に会うことをお勧めしません。

配偶者の不倫による心の傷は、トラウマに相当することがあります。大きな傷を負っている人のサポートで優先すべきは、これ以上の傷を負わないようにすることです。

再構築の過程においては、ほぼ例外なく不倫した側の発言や行動で、された側の人がさらに傷つく体験をします。良かれと思ってしたことが裏目に出たり、気持ちを受け止めきれなくなって大きな声をだしてしまうなどのことが起こります。

それらを0にすることは困難です。再構築のカウンセリングでは、それらのズレをその都度修正しながら、傷ついた心の癒やしと再構築のプロセスを進めていきます。不倫相手に会うことは、そのプロセスを大きく阻害する可能性があります。

個人的な経験で特に危険を感じるのは、LINEや電話で不倫相手と接触することです。人は面と向かって言いにくいことでも、顔が見えないLINEや電話ではサラッと言えるものです。心をえぐられるような経験をするのは、直接会うよりLINEや電話の方が多い印象があります。

それでも会いたいと思うときに考えるべきこと

会わないことをお勧めしますが、最後はご本人の意思を尊重します。ご本人が納得できる決断に到達できるように支援することもカウンセラーの役割だからです。

ご本人が会うことを決断された場合は、以下のことを明確にしてから会うことをお勧めしています。

  • 目的を明確にする
    • 面会の目的をはっきりさせます。目的として語られることには以下のようなものがあります。「どのような人物なのかを知りたい」「謝罪を受ける」「誓約書に署名してもらう」等々。目的と優先順位を整理しておきます。
  • 質問内容を整理しておく
    • 感情的になると相手も感情的になって、新たな傷を負う可能性があります。確認したいことや伝えたいことをあらかじめリスト化しておくと、感情的になりにくくなります。
  • LINEや電話より直接会う
    • 前の章でも触れましたが、特にLINEや電話では、文字だけのコミュニケーションが誤解を生みやすく、相手の感情や意図が分かりにくいため、予期せぬ言葉に深く傷つくことがあります。衝動的にLINEで接触を試みて、心を深くえぐられる経験をする人がいます。
  • 第三者の立ち会い
    • 第三者が立ち会うほうが感情的になりにくいです。相手の節度を持った対応も期待しやすいでしょう。第三者の立ち会いがむずかしければ、配偶者でもいないより良いはずです。
  • 法的リスクの理解
    • 発言が脅迫と受け取られるなどのトラブルを避けるため、事前にリスクを把握しておくのが望ましいです。可能であれば事前に弁護士に相談しておくのが望ましいです。
    • 慰謝料を請求する場合は、弁護士に依頼することをおすすめします。弁護士は法的手続きをスムーズに進めるだけでなく、適切な額の慰謝料を求めるサポートも行います。
  • 望む結果得られない可能性が小さくないことを覚悟しておく
    • 生成AIの分析によれば、良い結果を得るケースは30%程度にとどまっています。悪い結果になることを覚悟した上で会うべきです。

最後に

不倫相手に会うことが心の区切りをつけるきっかけになる場合もあれば、さらなる傷を負う結果となる場合もあります。このような状況で、感情に流されず冷静な判断を下すのは簡単ではありません。

この記事を通じて、不倫相手に会うことのメリットとデメリット、そして考慮すべきポイントについてご紹介しました。最終的には、あなた自身がどのような結果を望むのか、どのような道を選ぶのが自分にとって最善なのかをじっくりと考える必要があります。

当カウンセリングルームでは、不倫問題に直面した方々が冷静に決断を下し、心の整理を進めるためのお手伝いをしています。あなたがどのような選択をするにしても、サポートが必要であればお気軽にご相談ください。

あなたの心が少しでも軽くなり、前向きな未来を歩めるよう願っています。

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