【誤解を招きやすい伝え方】親密さと関係を育てるコミュニケーション(5)

執筆者:山崎 孝
公認心理師・ブリーフセラピスト・家族相談士

誤解が生じやすいコミュニケーションとは

誤解を招きやすい言葉には典型的な例があります。「いつも」「また」といった一般化する言葉、怒りを伴う質問の形は、誤解や対立を引き起こす原因となります。また、身振りや手振り、口調などの非言語情報もコミュニケーションの重要な要素です。今回は、避けるべき表現と、言葉と非言語情報の関係について説明します。

前回の振り返り

前回は、伝えたいことを整理して明確に伝えるDESC法を紹介しました。

  • 事実を述べ(D)
  • 気持ちを表現し(E)
  • 具体的に提案し(S)
  • 結果を示す(C)

という4つのステップで、相手に伝わりやすい話し方を実現できます。

誤解を招きやすい表現

コミュニケーションするカップル

「いつも」「また」は特定の行動を一般化する

「いつも」「また」といった言葉は、特定の出来事を全体に一般化してしまいます。

例えば、「あなたはいつも遅刻する」という言い方は、常にそうであるかのように誇張してしまいます。また、行動を批判しているつもりが、人格の批判になりうる表現です。相手に不公平感を与え、防衛的な態度や反発を引き出すことがあります。

さらに行き過ぎた表現として、「あなたは自分勝手なんだから」「あなたはズルい人」のようなレッテル貼りがあります。これは行動の批判を超えています。

望ましい表現

一般化せず、具体的な出来事を述べます。

  • 「今日の会議に10分遅れた」
  • 「昨日約束した時間に来なかった」

これは、DESC法のD(事実の記述)です。具体的な事実を述べることで、相手は何について話しているのかを正確に理解できます。

怒りを伴う質問の形

例えば、「どうしていつもこんなに無神経なの?」という言い方は、質問の形を取っていますが、実際には相手を非難しています。

相手はその質問に対して真剣に答えようとすることがあります。しかし、怒りを込めた質問はしばしば、相手の回答を「言い訳」として切り捨てます。

「何を言っても言い訳と切り捨てられるなら、黙っている方がマシ」となり、ますますコミュニケーションが悪化していくこともあります。

望ましい表現

DESC法のEとSを使います。

  • E(気持ちの表現):「私は傷ついた」「私は不安を感じた」
  • S(具体的な提案):「次からは事前に連絡してほしい」

質問形式ではなく、自分の気持ちを述べ、望むことを伝えます。

なぜこれらの表現が問題なのか

「いつも」「また」や怒りを込めた質問は、以下の問題を引き起こします。

  • 相手を防衛的にさせる
  • 本来の問題から焦点がずれる
  • 人格攻撃と受け取られる
  • 建設的な対話を妨げる

アイメッセージとDESC法を使うことで、これらの問題を避けられます。

非言語コミュニケーションの影響

身振り手振りによるコミュニケーション

メラビアンの法則

「目は口ほどにものを言う」と言いますが、どの程度ものを言うのかを研究した人がいます。心理学者アルバート・メラビアンが提唱したメラビアンの法則です。

私たちは言葉だけでコミュニケーションを取っているわけではありません。言語情報に加えて、視覚情報(身振りや手振り)、聴覚情報(声のトーンや口調)を用いています。

3つの情報が一致しているとき

  • 「悲しい」(言語情報)と
  • 伏し目がち(視覚情報)に
  • 弱々しい声(聴覚情報)で

つぶやくとき、すなわち3つの情報が一致しているとき、悲しい気持ちが正確に伝わります

3つの情報が不一致のとき

  • 「悲しい」(言語情報)と
  • 睨むように(視覚情報)
  • 強い口調(聴覚情報)で

ぶつけられたとき、すなわち3つの情報が不一致のとき、この場合なら、相手は怒っていると受け取るでしょう。「悲しい」とは受け取らないはずです。

(この例の状態のとき、「悲しい」という第一次感情から「怒り」という第二次感情が生じたと考えられます。詳しくは【自分自身との対話】親密さと関係を育てるコミュニケーション(3)をご覧下さい)

メラビアンの法則:3つの情報の優先度

メラビアンの法則は、3つの情報が不一致のとき、どの情報が優先されるかを示すものです。優先度は以下の通りです。

  • 言語情報(7%
  • 聴覚情報(38%
  • 視覚情報(55%

3つの情報が不一致のとき、言語情報は受け取ってもらえない可能性が高いです。

特に怒りに包まれているときほど、そうなりがちです。「いつも」と一般化して、「〜な人」とレッテルを貼って、「どうして〜?」と質問の形で、3つの情報が矛盾しているものです。

感情を落ち着けてから話す

コントロールがむずかしいほど怒りの強度が高いときは、話し合いを避けるのが望ましいです。まずは沸騰した感情を冷ますことに注力して、話し合いはそれからが理想です。

怒りの対処については、【夫婦のコミュニケーション】怒りのコントロールで詳しく説明しています。

アイメッセージで伝える

基本に立ち返る

対処法は、これまでの投稿で紹介したアイメッセージです。DESC法です。事実や状況を具体的に示して、それをどのように感じたのかを「私を主語」にして表現し、相手に望むことを伝えます。

普段、そのような意識をしていない人にとっては、とても面倒に感じるかもしれません。しかし、ただ仲良くするのではなく、お互いを尊重して協調関係を築くには努力が必要です。何となく会話しているだけで関係が築けることはありません。

練習と習慣化

アイメッセージやDESC法は、スキルです。スキルは練習によって身につきます。

最初はぎこちなく感じても、繰り返すうちに自然に使えるようになります。重要な話をするときは、事前に紙に書いて整理するのも効果的です。

まとめ

コミュニケーションするカップル
  • 「いつも」「また」といった一般化する言葉は、特定の出来事を全体化し、行動の批判が人格の批判になりかねません。具体的な事実を述べることが大切です。
  • 怒りを込めた質問形式(「どうして〜?」)は、相手を非難する表現になります。相手の回答を「言い訳」として切り捨てると、コミュニケーションが悪化します。
  • メラビアンの法則によれば、言語・聴覚・視覚の3つの情報が矛盾するとき、言語情報(7%)より聴覚情報(38%)と視覚情報(55%)が優先されます。言葉だけでなく、口調や表情も重要です。
  • 怒りが強いときは、3つの情報が矛盾しがちです。感情を落ち着けてから、アイメッセージとDESC法を使って伝えるのが基本です。
  • アイメッセージとDESC法はスキルであり、練習によって身につきます。何となく会話するのではなく、意識的に実践することで、お互いを尊重する協調関係が築けます。
タイトルとURLをコピーしました