
執筆者:山崎 孝
公認心理師・ブリーフセラピスト
「やめなければいけないと分かっている。でも、やめられない。」
そう感じながら、このページにたどり着いた方がほとんどではないかと思います。罪悪感、不安、後ろめたさ。それでもやめられない自分への戸惑い。一人で抱えているその重さは、並大抵のものではないはずです。
このページでは、不倫をやめたいと悩んでいる方を対象に、カウンセリングで実際に何が起き、何が変わるのかをお伝えします。
やめられないのは、意志が弱いからではありません。
不倫関係が続いているとき、多くの場合そこには「その関係でしか満たされていない何か」があります。承認、温かさ、自由な自分でいられる感覚、あるいは日常の疲れを忘れられる時間。
カウンセリングでは、「なぜやめられないのか」を責めるのではなく、「その関係が何を担っているのか」を一緒に理解するところから始めます。
ブリーフセラピーの視点では、やめられない状態を「個人の道徳的問題」としてではなく、「ある機能を果たしている関係のパターン」として理解します。この見方をすることで、初めて現実的な変化への道筋が見えてきます。
「自分のような人間が相談していいのだろうか」と思う方もいます。しかし、実際に相談に来る方はごく普通の生活を送っている方々です。
たとえば、このような状況の方が相談に来ています。
こうした状況は、「意志の問題」だけでは解決しにくいことが多いです。だからこそ、客観的な立場から関わるカウンセリングが助けになることがあります。
まず、現在の状況を整理することから始めます。カウンセラーが事情を一方的に聴いて判断するのではなく、「今どういう状態にあるか」を一緒に整理していく時間です。
責められることも、説教されることもありません。どのような経緯でその関係が始まったのか、今どんな気持ちでいるのか、今後どうしたいのかを、安心して話せる場を提供します。
カウンセリングが進む中では、おもに以下のことに取り組んでいきます。
不倫関係を維持している「悪循環」がどこにあるのかを一緒に見ていきます。たとえば、「罪悪感を感じる → 自分を責める → 気持ちが落ち込む → 相手に連絡してしまう → また罪悪感を感じる」というような循環です。MRIブリーフセラピーでは、この「悪循環を維持しているパターン」を変えることを重視します。
問題が起きていない時間や、うまく距離を置けていた時期に注目します。解決志向アプローチ(SFA)では、「すでにできていること」の中に変化のヒントがあると考えます。問題の原因を掘り下げるよりも、こうした「例外」を見つけることの方が、具体的な変化につながることが多いです。
「やめる」「やめない」を急いで決める必要はありません。ただ、今後どうしたいのかという方向性を、自分自身が少しずつ明確にしていくプロセスを支援します。カウンセラーが答えを出すのではなく、あなた自身が納得できる選択に近づいていくことを大切にします。
職場のストレスをきっかけに始まった関係が、3年以上続いていたAさん(仮名)。「何度もやめようとしたが、相手からメッセージが来ると気持ちが揺れてしまう」という状態でした。
カウンセリングでは、まず「やめようとするたびに何が起きているか」を丁寧に見ていきました。Aさんの場合、「やめる宣言をする → 相手が泣く・怒る → 罪悪感を感じて関係を続ける」という繰り返しのパターンがありました。
このパターンに気づいてから、Aさんは「やめると言う」という方法ではなく、少しずつ関与の程度を下げていくという方法に切り替えました。3か月後には関係を終わらせることができ、家族との時間を改めて大切にしたいという気持ちが戻ってきたとのことでした。
Bさん(仮名)は、夫婦関係が冷え切った中で始まった関係に、気づけば情緒的に強く依存していました。「やめたいが、相手なしでは気持ちが持たない気がする」という状態でした。
カウンセリングでは、「その関係が自分にとって何を担っているのか」を探ることから始めました。Bさんにとっては、「自分を肯定してもらえる感覚」が得られる唯一の場所になっていたことが分かりました。
そこから、その感覚を別の形で得られるリソース(趣味・友人関係・自分自身の中にあるもの)を一緒に見つけていきました。関係を終わらせるまでには時間がかかりましたが、Bさんは「以前より自分を信じられるようになった」という変化を感じたと話してくれました。
パートナーには内緒で、お一人での相談も受け付けています。「夫(妻)には知られたくない」という状況でも問題ありません。カウンセリング内容は秘密厳守です。
状況によって異なりますが、短期間での変化を目指すブリーフセラピーの性質上、目安として3〜8回程度が多いです。初回のセッションで今後の見通しをお伝えします。
いいえ。カウンセラーの役割は、あなたが自分で納得できる選択に近づくことを支援することです。「やめるべきだ」という価値判断を一方的に押しつけることはしません。
はい。Zoom等を使ったオンラインカウンセリングも対応しています。遠方の方や、対面が難しい状況の方もご利用いただけます。
「こんなことを相談していいのか」「自業自得だから」と思って、誰にも話せないまま何年も過ごしてきた方がいます。
しかし、やめたいと思いながらやめられない状態が続くこと自体が、心身に大きな負荷をかけています。その状態を一人で抱え続けることが、最善の選択とは限りません。
まずは「話してみる」だけで構いません。初回のカウンセリングでは、今の状況を整理することから始めます。その後どうするかは、あなた自身が決めることです。