不倫の種類と背景

執筆者:山崎 孝
公認心理師・ブリーフセラピスト・家族相談士

パートナーの不倫を経験された方が「私が結婚したのは誰なのだろう」とおっしゃることがあります。「これまでの夫婦生活、家族生活は何だったのだろう」とおっしゃるのは当然のことだと思います。

衝撃が大きすぎて受け止めきれない気持ち、何が何だかわからない混乱した気持ちをあらわしています。

このページでは、不倫の種類や背景について整理します。同じ不倫でも、Aさんの場合とBさんの場合では、細かく見ていくと様々な違いがあるはずです。

それらがわかったところで傷が癒えるわけではありませんが、混乱が少しずつ整理され、自分自身の気持ちや今後の向き合い方を冷静に考える態勢に向かいやすくなるはずです。

性的関係と精神的関係

不倫の目的を切り口にすると、性的関係を求めるものと、精神的関係を求めるものに分けることができます。もちろん、両方を同時に求める場合もあるでしょう。

性的関係

性的関係が主な目的であり、恋愛感情が伴わない、または小さな関係です。風俗店の利用やワンナイト(一夜限りの関係)が該当します。ただし、性的な関係が続くうちに、感情的なつながりが生まれる(いわゆる情が湧く)ケースもあります。

精神的関係

仕事の悩みを異性の同僚にだけ打ち明け続けたり、毎日のようにメッセージをやり取りしたりする関係が、不倫・浮気に相当することがあります。インターネット・SNSの普及によって、このような関係を持ちやすなりました。

身体関係がない精神的な不倫のことを、海外ではエモーショナルアフェアと呼ぶことがあります。

短期的関係と長期的関係

一般的に、性的な不倫は短期間で終わることもあるのに対して、精神的な不倫は長期化しやすいと言われていますが、必ずしもそうではありません。酒・タバコ・ギャンブルと同じように、性的関係に依存して長期化するケースもあります。

短期的関係

風俗店の利用や一度きりの関係は多くの場合、短期で終わることが多いようです。

本題から逸れますが、風俗店の利用は不倫・浮気ではないと考える人が一定数います。

そのように考えるのは個人の自由ですが、パートナーが風俗も不倫・浮気と考えるのであれば、その価値観を尊重すべきと考えます。私(カウンセラー)の個人的な価値観と言われればその通りですが。

ちなみに、配偶者以外との性交は不貞行為であり、それは風俗店であっても同じです。不貞は離婚の原因になります(民法770条1項1号)。また、性交に準ずる行為も離婚原因として認められることがあります。

長期的関係

数年以上の長期に及ぶ不倫もあります。酒・タバコ・ギャンブルのように依存として考えると理解しやすいケースがあります。

お酒を飲むとストレスが和らぎます。最初は適度な量で切り上げられますが、飲み続けている内に同じ量では酔えなくなります。そして量が増えていきます。それを続けていると、いつの間にかお酒を飲むのが目的になります。

ざっくりですが、これがアルコール依存症のパターンです。

風俗に当てはめると、誘われてついて行った風俗が思いのほか楽しかった。ストレスがたまったときに行くようになった。今では風俗へ行くのが当たり前になってしまった。そのようなケースに相当します。

夫婦の関係が悪かったり希薄だったりすると、不倫関係で欠けているものを満たすことがあります。

夫婦関係が長くなると、お互いに恋愛時代の強い感情はなくなります。落ち着いた感情、落ち着いた関係になります。

不倫関係が長くなると、同じような関係になることがあります。もはや不倫を続ける強い動機はないけれど、夫婦関係が希薄なこともあり、やめる理由もなく惰性のように続けているというケースがあります。

不倫の背景

不倫の背景を「本人の心理状態」「相手との関係性」「本人の環境」の3つの切り口でリストアップします。それぞれの要因が絡み合って不倫が起こる背景となります。

本人の心理状態

現状の不満と承認欲求は精神的な関係に走りやすいと推測することができます。刺激は性的を含む快感を求めてのものでしょう。

不倫をする人の多くは多少の罪悪感を持ちながらも重大さの認識が欠けています。「妻(または夫)がこれほど傷つくとは予想外だった」というセリフからも罪悪感の希薄さが感じられます。

  • 現状の不満:現在の夫婦関係に不満を抱えて不倫関係に逃避する。
  • 承認欲求:不倫相手から認められることで自尊心が満される。
  • 刺激:刺激を求め不倫のスリルや秘密性を楽しむ。
  • 罪悪感の欠如:不倫に対する罪悪感が希薄。

相手との関係性

職場では仕事を通じて相手の人柄をよく知る機会があります。仕事に情熱をもって取り組んでいる人が、同じく情熱をもって取り組んでいる同僚に惹かれることがあります。

  • 愛情や絆:不倫相手との間に深い愛情や絆が生まれている。お互いに精神的な支えとなり特別な存在になっている。
  • 共通の趣味や価値観:趣味や価値観が共通していて一緒にいて心地良い。
  • 性的魅力:肉体的な魅力や性的な相性。
  • 依存:相手に依存している、または相手に依存されている。

本人の環境

不倫は本人の置かれた環境に大きく依存することが多いです。不倫が起こるのが最も多いのは職場ですが、職場に異性がいなければ起こりようがありません。ただし、SNSやアプリがきっかけの不倫が増えています。

  • 出会いの機会:不倫相手に日常的に会う機会が多い環境。
  • 秘密保持:周囲に知られにくい環境。
  • 経済的な余裕:本人または不倫相手に経済的な余裕がある。
  • 家族の状況:配偶者や子どもとの関係が希薄。

不倫は元々リスクが高い行為ですが、長期化するとリスクのより高いものになります。例えば、慰謝料が高額になる、社会的地位の失墜などです。関係の回復、再構築の困難さが高くなるのは言うまでもありません。

不倫が起こりやすい状況

不倫が起こりやすい状況は、距離感が近くなりやすい、非日常的な要素が含まれる、秘密を守りやすい環境があるなどの特徴があります。

職場

職場で起きやすい要因には以下があります。

  • 長時間一緒に過ごすことが多く、自然と距離が近づく。
  • 上下関係やチームワークの中で、信頼関係や依存が生まれやすい。
  • 出張や業務外での飲み会など、プライベートな時間を共有しやすい。
  • 仕事を理解してくれる唯一の存在と感じやすい。
  • 家庭では得られない達成感や充実感を、相手との関係に感じることがある。

SNS・アプリ

近年はSNS・アプリからの不倫が増えています。時間や場所を選ばず関係が続けられるため、長期化しやすい傾向があります。

  • 誰でも簡単に繋がれる環境。
  • 匿名性が保たれやすく、罪悪感を感じにくい。
  • 物理的な距離を超えて、深い関係を築きやすい。
  • 本当の自分を理解してくれる相手と錯覚しやすい。
  • メッセージのやり取りが続くことで、気持ちが高まりやすい。

同窓会

  • 昔の友人や恋人との再会が、当時の感情を呼び起こす。
  • 非日常的な空間で、感情の高まりが起きやすい。
  • お互いの現在の生活に不満があると、共感しやすい。
  • 昔の自分に戻れた気がする。
  • 現在の生活から一時的に逃れたいという感情。

趣味やサークル

  • 共通の趣味や興味を通じて、自然と親近感が生まれる。
  • 定期的に会う機会があるため、関係が深まりやすい。
  • お互いのプライベートな側面を知りやすい。
  • 自分を理解してくれる。一緒にいて楽しい。
  • 日常生活のストレスや孤独感から逃れたい。

旅行先・非日常の環境

  • 普段の生活から離れることで心理的なブレーキが緩む。
  • 解放感や高揚感が、判断力を鈍らせることがある。
  • 知らない土地では、関係が発覚しにくいと感じる。
  • 今だけはいいだろうという気の緩み。
  • この瞬間だけは現実を忘れたい。

カウンセリングの勧め

当カウンセリングルームは不倫のカウンセリングを多数承っております。不倫の発覚後は、2人で話し合っても感情のぶつけ合いとなり、お互いが疲弊するだけで建設的な方向へ進まないことがほとんどです。カウンセラーは2人の触媒となって話し合いが建設的な方向へ進むサポートを行います。

2人でも1人でも効果的なサポートを提供できます。また、不倫をしている人のカウンセリングも承っております。不倫のカウンセリングに関する情報を以下にリストアップしています。参考にして下さい。

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カウンセリングの流れ

完全予約制で対面とオンラインに対応しています。事前の手続きをオンラインで行うことにより、面接時間はカウンセリングに集中できるようにしています。

このページの執筆者
山崎 孝(公認心理師)

夫婦・カップルの相談を中心にカウンセリングを行っている公認心理師です。原因を個人内に求めるのではなく、コミュニケーション(相互作用)の変化を促すことで問題の解消・解決を目指すブリーフセラピーを主に用いてサポートします。

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