カウンセラーとして
民間企業勤務、個人事業を経て、現職です。夫婦・カップルの家族(夫婦)療法カウンセリングは、大阪の北摂地域では当ルームが最初の選択になると自負しています。もちろん1人でもご利用いただけます。
2018年頃の私は今より膨よかでした。
最近の私

カウンセリングの理論・技法は、来談者中心療法(傾聴)から学び始めました。来談者中心療法では、カウンセラーが指示するのではなく、本人が自分自身の力で答えや解決策を見つけられるようサポートすることを大切にしています。
日々カウンセリングを行う中で、ただ話を聴くだけではサポートしきれない場面にも出会いました。そこで、当時(今もですが)広く注目されていた認知行動療法を学び、取り入れました。認知行動療法は、「考え方」や「行動のクセ」を見直すことで、心の悩みや困りごとを改善していく心理療法です。
さらに学びを深める中で現在は、家族療法とブリーフセラピーを柱に、認知行動療法を補完的に用いるカウンセリングを行っています。
家族療法は、問題の原因を特定の個人ではなく、集団全体の関係性や相互作用に見つけるアプローチです。ここでいう「家族」とは、職場、友人グループ、学校のクラスなど、複数の人が関わり合うあらゆる集団に置き換えることができます。
このような視点は、「問題の原因を誰か一人の責任にしない」という、人にやさしい姿勢につながります。この考え方をとても気に入っています。
ブリーフセラピーは、家族療法から派生したアプローチで、短期間(ブリーフ・brief)での解決を目指す心理療法です。「小さな変化が大きな改善につながる」という考え方を大切にし、今すぐ取り組める工夫や行動を一緒に見つけることを重視します。
参考ページ:夫婦・カップルカウンセリングについて(家族療法・ブリーフセラピー・認知行動療法について簡潔に説明しています)
資格
- 公認心理師(第36732号)公認心理師 | 厚生労働省
- ブリーフセラピスト(B00196号)国際ブリーフセラピー協会
- 家族相談士(第2021号)家族心理士・家族相談士資格認定機構
所属
- 国際ブリーフセラピー協会
- 日本家族心理学会
- 日本家族カウンセリング協会
- 日本公認心理師協会
所属する学術団体の研究員としてグループスーパービジョンに参加している他、各種研修やワークショップに参加して研鑽を継続しています。
フルフィルメントとは
屋号の「フルフィルメント(fulfillment)」の言葉には、「達成感」「満足感」「充実感」の意味があります。また、それらには大きく二つの意味があります。一時的な達成感に加えて、今やっていることや達成したことに感じる深い満足感、より継続的・内面的な充実感を意味します。
「心理カウンセリングのフルフィルメント」という名称には、ただ問題を解決するだけでなく、一人ひとりが自分らしく生きながら心を満たし、人生に充足を得られるサポートを提供したいという想いを込めています。
理念とミッション
支え合い、成長し続ける夫婦関係を築くために
詳細ページ:夫婦カウンセリングの理念
カウンセラーとしての研鑽
カウンセリング業を始めて痛感したのは、スキルを学ぶだけでは十分ではないということです。
スキルには即効性があります。技術を学び、練習を積み重ねることで、「心が軽くなりました」と満足していただけるカウンセリングは、1、2年(500〜1,000時間)程度で提供できるようになります。
しかし、その先に進むためには、スキルだけでは到達できません。理論に基づく実践と学習が必須です。
理論とは、多くの人々を効果的にサポートするための地図のようなものです。サポートする人の個人的な経験だけに頼るのではなく、様々なケースに効果的に対応できるよう、確かな根拠に基づいて、多くの知見をまとめ、広く使えるように整理された枠組みのことです。
地図があるからこそ、迷ったときに軌道修正ができます。理論を学んだからといって、すぐにカウンセリング能力が向上するわけではありません。しかし、長期的に成長し続けるためには、理論に裏付けられた視点が欠かせません。
例えば、私は家族療法・ブリーフセラピーを中心に、さまざまな心理学的理論を学んでいます。これらは、クライエント一人ひとりの状況や課題に適したサポートを行うための重要な地図となっています。
具体的には、所属する学術団体のスーパーバイザー(経験・知識が豊富なカウンセラーで、他のカウンセラーを指導・支援する立場にある人)の指導を継続して受けています。スーパービジョンを通じて、自分のカウンセリングが適切であるか、より良いサポートができる方法は何かを常に振り返る機会を持っています。
また、学術団体主催の研修や講習にも定期的に参加し、新しい知見や技術を学び続けています。
これからも研鑽を積み重ね、一人ひとりのクライエントにとって、安心できる場と確かなサポートを提供し続けたいと思っています。
私の夫婦物語
自分自身の夫婦関係を通じて、気づきと学びを得てきました。うまくいかない人生に苦しみ、夫婦関係にも悩んでいた時期を経て、家族の絆や心理学との出会いが私を支え、変えてくれました。
結婚生活の中で、互いに向き合い、支え合うことで絆が深まり、夫婦関係は家庭の基盤となることを実感しました。この経験が、カウンセラーとしての私の原点です。
夫婦関係は、心の癒しと成長の源であり、家庭を子どもたちにとっての「安全基地」にする大切な鍵です。今、私はこの気づきを活かし、あなたが安心できる関係を築けるようサポートすることに全力を尽くしています。
夫婦関係の始まりと葛藤
私は大阪府吹田市で生まれ、豊中市で育ちました。結婚を機に明石市へ移り、現在は再び豊中市で暮らしています。妻と3人の子どもがいます。
結婚生活は順風満帆ではありませんでした。子どもたちが幼かった頃、私は仕事がうまくいかず、人生にもがいていました。その影響は家庭にも及び、夫婦関係は決して良好とは言えない状態でした。
私のうつ病や引きこもり状態を支えてくれたのは妻ですが、その苦労に十分に感謝を示せず、時には不満をぶつけてしまうこともありました。
そんな中で、子どもたちの存在が夫婦関係をつなぎ止めてくれました。特に、吹奏楽部での子どもたちの活躍を一緒に応援することが、私たち夫婦の関係が変わるきっかけとなりました。
それまでは、お互いに「向き合う」ことができませんでした。向き合えませんでしたが、子どもたちを一緒に応援することはできました。
「同じ方向」を見ているうちに、次第に「向き合う」ことができるようになりました。一緒に困難に向き合えるようになりました。そうして、お互いを支え合う関係を取り戻すことができました。
長男が全国大会に出場したとき(お世話になった吹奏楽部初の全国大会出場でした!)は、お金がなかったので東京まで往復夜行バスで応援に行きました。当時はお金がないことに引け目を感じていて、夜行バスで行ったことを誰にも言えませんでした。今では良い思い出です。
心理学との出会いと気づき
20代、30代の頃、私は仕事で大きな壁にぶつかっていました。上司や取引先との関係構築に悩み、「なぜ自分はうまくいかないのだろう」と自己評価を下げる日々。周囲の期待に応えなければならない、一人で問題を解決しなければならないというプレッシャーから、ついにうつ病と診断されました。
休職はしましたが、心身ともに動けず、「逃げた」という自責の念に苦しめられました。「あの時、心理学を知っていれば…」と何度も思いました。当時の苦しみや悔しさは、今でも鮮明に覚えています。
そんな出口の見えない状況の中、出会ったのが「コーチング」でした。目標達成や自己理解を促すスキルは、私にとって大きな助けとなりました。しかし、同時に「スキル」としての側面が強く、理論的な基盤が弱いように感じていました。
より深い理解を求めて心理学の世界に足を踏み入れたのは、必然だったのかもしれません。心理学は、コーチングだけでは得られなかった「なぜそう感じるのか」「今何が起きているのか」を深く考えるための枠組みを与えてくれました。
心理学を学ぶ中で、私は自分自身と向き合い、家族との関係を見つめ直すことができました。特に、妻に対して父親と同じような態度をとっていたことに気づき、大きな衝撃を受けました。
同時に、父親もまた、自信のなさや苦しみを抱えていたのかもしれないと理解するようになりました。長年抱えていた父親への怒りや哀れみは、少しずつ許しへと変わっていきました。
心理学は、私の人生における大きな転機となりました。夫婦関係、そして親子関係。それらの根底にある心のメカニズムを理解することで、私は自分自身を深く理解し、家族との関係を再構築することができたのです。
この経験は、カウンセラーとしての私の土台となっています。クライアントの方々が抱える苦しみや葛藤に寄り添い、共に解決の糸口を探していく。その中で、心理学の知識と自身の経験を生かし、少しでも多くの方々の支えになれればと思っています。
心はどこにあるのか
「心はどこにあるのか?」
この問いに対する答えには、以下の3つの立場があります。
それぞれの立場について説明した後、私自身の考えについてお伝えします。
心は「脳にある」
うれしい気持ちや悲しい気持ちが湧いてくるのは、脳の働きによるものです。脳には「感情をつかさどる部分」や「考えを整理する部分」があり、それらが連携して心の動きを作り出しています。
fMRI(機能的磁気共鳴画像法)などの技術を用いることで、脳の活動をリアルタイムで観察し、心の動きをある程度「見る」ことができるようになってきました。しかし、心のすべてが脳の活動だけで説明できるわけではありません。脳は複雑な器官であり、現時点では全容は解明されていません。
心は「身体にある」
心は脳だけでなく、身体全体で感じているという考え方です。
緊張すると心臓がドキドキしたり、悲しいと涙が出たりするように、感情は身体的な反応と結びついています。また、ヨガや瞑想のように、身体に意識を向けることで心の状態をある程度コントロールできる経験を持つ人もいると思います。
近年注目されている「身体化された認知」という考え方では、身体的な経験が思考や感情に影響を与えるとされています。例えば、温かい飲み物を持つと、相手に対して温かい気持ちを抱きやすくなる、といった研究結果があります。
ベッセル・ヴァン・デア・コーク(精神科医)による書籍『身体はトラウマを記録する』がベストセラーになりました。トラウマは身体に刻み込まれること。身体に働きかける治療が有効だと主張しています。この考えは広く支持されています。
心は「人と人の間にある」
心は他者との関わりの中で生まれるという考え方があります。私たちの心が人との関わり方、関わりそのものを通じて作られていくという考え方です。
この立場は、心理学の分野では「社会構成主義」や「家族心理学」の考え方に基づいています。
「社会構成主義」とは、人々の間で共通認識が作られ、共有されることで、様々な考えや価値観が「現実」として構築されていくという考え方です。
例えば、「Aさんは優秀だ」という共通認識が広まれば、それは社会における「事実」となります。
しかし、共通認識が形成されなければ、「Aさんは優秀だ」という評価は、単なる個人の意見に過ぎず、「事実」として定着することはむずかしいでしょう。
このように、社会構成主義では、共通認識こそが、私たちの社会における「現実」を形作っていくと捉えます。
私たちは、他の人とのコミュニケーションを通じてさまざまな感情を学び、社会のルールや価値観を自然と身につけていきます。例えば、幼い頃に養育者から愛情を受けた経験は、その後の人間関係や「自分は大切な存在だ」と感じる力に影響します。
さらに、私たちは日々、周りの人の表情や言葉、行動から影響を受けています。また、私たちの心や考え方は、人間関係だけでなく、文化や歴史、社会構造など、様々な要素からも影響を受けています。
私の考え
カウンセラーとしての私は、物事を一面からではなく多面的に見るように心がけています。その意味では、3つのすべての立場からサポートを行っていると言えます。
しかし、特にどれを重視しているかと問われると、心は「人と人の間にある」を中心にしていると言えます。
私が心理学を学ぶ最初のモチベーションは自信(心理学では「自尊感情」が用いられます。「自尊心」や「自己肯定感」とほぼ同意です)でした。
自信は人間関係において育まれます。
先に触れたように、例えば、幼い頃に養育者から愛情を受けた経験は、その後の人間関係や「自分は大切な存在だ」と感じる力に影響します。
逆に、幼少期のつらい経験や、周囲からの心無い言動によって、健全な自尊感情が育まれず、自分の価値を見出せないまま大人になることがあります。
私はカウンセリングを通じて夫婦関係のサポートを行っていますが、「関係」とはまさに「人と人の間」です。
心は脳や身体に宿りつつ、人と人の間でも作られていくものです。この3つの視点はどれも心を理解する上で欠かせません。特に、私たちが人間関係の中で心の健康を育むことができるという考え方は、カウンセリングの場でも大切にしている視点です。
悩んでいることがあれば、自分だけで抱え込まず、人とのつながりの中で解決への道を探してみることを検討してみて下さい。