夫婦カウンセリングに意味はない?

執筆者:山崎 孝
公認心理師・ブリーフセラピスト・家族相談士

夫婦カウンセリングの利用を迷っている方、パートナーから利用する意味がわからないと言われている方の参考になるかもしれません。夫婦カウンセリングのメリットを紹介します。最後にデメリットも紹介します。

落ち着いて話し合える

  • 日常生活から離れて話し合いに集中できる環境と時間を持てる。
  • 中立な第三者の存在が話し合いの場を安全にする。
  • 途中で遮られることなくしっかり話せる・聞いてもらえる。
  • 話が逸脱しても軌道修正できる。

自宅にいると、家事や育児などが気になって、話し合いに集中できないことがあります。(カウンセリングという)非日常的な場に身を置くことで、話し合いに集中しやすい環境を得られます。

話を被せられる。話が逸れる。感情的になる。それらがカウンセリング中に起きてしまうこともあります。2人だけではむずかしい軌道修正も、カウンセラーのサポートが容易にします。

安心・安全な話し合いが可能になります。

悪循環に直接働きかけて良循環を起こす介入が可能

夫婦・カップルカウンセリングにおけるコミュニケーションの支援は、カウンセラーが2人の会話に参加して良いコミュニケーションを起こす働きかけを行い、カウンセラーがいなくても良循環が維持されるのように支援します。

  1. カウンセラーは客観的な視点から悪循環のパターンを把握する(下図①)
  2. カウンセラーが2人の会話に参加して良循環を起こす(下図②)
  3. カウンセラーが離れても良循環が維持される(下図③)

夫婦カウンセリングでは、2人の日常のコミュニケーションがしばしば再現されます。カウンセラーは直接観察して、直接働きかけることができます。

自分自身と相手の理解が深まる

  • 誰にも話せなかったことを話せて気持ちが軽くなる。
  • パートナーに伝えたかったことをしっかり伝えられる。
  • パートナーの気持ちをより理解できる。

夫婦の問題は他人に話しにくいものです。心は常に荷物を背負っているような状態になりがちです。その荷物を下ろせば心が軽くなります。心が軽くなると、視野が広がり、思考が柔軟になります。それだけで、解決のきっかけになる気づきが起こることもあります。

カウンセラーは語られた言葉を聴くにとどまらず、行間に込められた考えや気持ちを言葉にするように促します。その営みは、より相手に伝わりやすく、より相手を理解しやすくします。その体験は気持ちを軽くします。

夫婦カウンセリングのデメリット

暴力・不倫・浮気が起きている場合、2人同席のカウンセリングをしてはいけないとされています。カウンセリングで話されたことが、それらの問題行動をより悪化させる可能性があるからです。

カウンセリングによって、2人の考え方・価値観の違いを埋めるのが困難であるのが明らかになることもありえます。

2人で、1人で、どちらが良いのか

絶対的な正解はなくケースバイケースです。2人で来談されても、カウンセラーから1人ずつにしませんかと提案するケースもあります。

2人で受けるメリット・デメリット

夫婦・カップル(2人での)カウンセリングのメリットは、家庭で行われるのとは違ったコミュニケーションが可能になることです。家庭では感情的になりがちな話し合いが、「お互いに落ち着いて話し合うことができました」という感想をいただくことが多いです。

他には、カウンセラーは2人の話を同時に聞けるので、偏りが少ない客観的な視点を得やすいです。より適切な提案やフィードバックを行いやすくなります。また、2人に対して同時に働きかけることができます。

一方、パートナーの反応が気になって、気持ちを表現しにくいことがあります。暴力が起きているときは、2人でのカウンセリングは行いません。カウンセリングでの会話が暴力を活性化するおそれがあるからです。

1人で受けるメリット・デメリット

個人のカウンセリングでは、パートナーを気にせず自由に話せるメリットがあります。

一方、カウンセラーは2人のコミュニケーションを直接観察できません。また、パートナーに直接働きかけることができません。

以下に整理してみました。判断材料にしていただければ幸いです。

2人または1人メリットデメリット
夫婦・カップル
(2人)
カウンセラーの参加で普段と異なるコミュニケーションが可能になる。

相手の理解・自分の理解・関係性の理解が促進されやすい。

双方の立場・考えを同時に聞けるので、カウンセラーは客観的な視点を得やすい。

カウンセラーのパートナーへの関わり方を見て、今までと異なる関わり方を知れる。
2人の意思が違う場合(例:修復と離婚)、望まない現実に直面させられることがある。

パートナーの存在を気にして、率直な気持ちを話せないことがある。
個人(1人)パートナーの存在や反応を気にせず自由に話せる。

パートナーに口出しされずにじっくり話を聞いてもらえる。

パートナーの暴力・モラルハラスメントなど、パートナー不在の場所でしか話せないことがある。
カウンセラーは2人に起きているコミュニケーションや悪循環を直接観察できない。

カウンセラーから提案することもあります

基本的には2人での面談が進めやすいと思いますが。カップルや相談内容によっては、カウンセラーから1人ずつの面談を提案することがあります。

他にご不明な点がございましたら、遠慮なくお問い合わせ下さい。匿名でのお問い合わせを承っております。

夫婦・カップルカウンセリングについて

当カウンセリングルームでは、家族療法・ブリーフセラピー認知行動療法を用いて夫婦・カップルの問題解決を支援しています。

ブリーフセラピー・家族療法では、問題の原因を個人内ではなく、コミュニケーション(相互作用)によって維持されていると考えます。相互作用の変化を促して問題の解消・解決を目指します。原因や犯人探しをしない、人にやさしいカウンセリングです。

認知行動療法は、認知(考え方、物事の捉え方)と行動のパターンを改善することで問題の解決を目指します。お互いの気持ちや考えを理解し合うことにおいて、とても役に立つ理論です。セルフケアなど様々な場面で活用されています。

夫婦カウンセリングへの想い

私が子どもの頃、よく両親が喧嘩していました。子ども心ながらに「さっさと離婚すればいいのに」と思ったこともありました。今ではその記憶も色あせていますが、隣の部屋から聞こえてきた言い争いの感覚は残っています。

その両親も今や後期高齢者です。お互いを支え合いながら、何とか元気に夫婦をやっています。

私の結婚生活も両親と似ている時期がありました。両親以上だったかもしれません。関係悪化の要因の多くは私にありました。離婚されても仕方なかったと思います。あれこれありましたが、おそらく今が、結婚生活を通して最も良い関係だと思います。

「せっかく夫婦になったのだから、離婚すべきではない」とは思いません。出会った夫婦の中には、夫婦関係に固執するより、離婚するほうがお互い幸せになるだろうと感じることもあります。

しかし、多くの場合、危機を乗り越えることで関係が深まると感じています。危機を乗り越えることで、人として成長するのだろうと思います。「危機」とは、「険」と「会」です。「危機」を夫婦関係の発展の「機会」となるよう、全力でサポートします。

カウンセリングのご案内

料金・その他詳細

個人60分:10,000円
90分:15,000円
夫婦90分:15,000円
お支払い方法現金・クレジットカード・電子マネー
備考税込価格、延長料金等ナシ、面接報告書は有料にて

カウンセリングの流れ

完全予約制で対面とオンラインに対応しています。事前の手続きをオンラインで行うことにより、面接時間はカウンセリングに集中できるようにしています。

このページの執筆者
山崎 孝(公認心理師)

夫婦・カップルの相談を中心にカウンセリングを行っている公認心理師です。原因を個人内に求めるのではなく、コミュニケーション(相互作用)の変化を促すことで問題の解消・解決を目指すブリーフセラピーを主に用いてサポートします。

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