冷却期間としての別居

執筆者:山崎 孝
公認心理師・ブリーフセラピスト・家族相談士

話し合いを試みても感情的に衝突するばかり。そのようなときに、「冷却期間」として別居を選択することがあります。修復を目指す場合、別居を積極的にはお勧めしませんが、メリットもあります。

思考が柔軟になる

大きなストレスを感じているときは、誰もが思考が硬直化して、物事を一面的にしか考えられないものです。同じように、考えても考えても同じところで行き止まり。堂々巡りに陥りやすいです。

リュックに重たい荷物が入っているときは、早く目的地に着いて、肩からリュックを降ろすことばかり考えるかもしれません。荷物が軽ければ、周りの景色などを見る余裕を持てるかもしれません。

配偶者から物理的に距離を取ることでストレスが減少して、物事を多面的に見えるようになることが期待できます。受け取りにくかった周囲のアドバイスも、一旦受け止めて、取捨選択できる余裕を持ちやすくなります。

視野が広がる

テレビを近い距離で見ると、画面以外のものは視界に入りません。離れて見ると、画面以外のものも視界に入ってきます。同様に配偶者が近くにいると、配偶者以外が視界に入りにくくなります。物理的に距離を取ることで、視野が広がるのを期待できます。

別居期間は?

別居を選択するとなったとき、どの程度の期間にするかがテーマになります。長期間の別居は婚姻費用など家計を圧迫します。子どもがいる家庭では、子どもへの影響も大きな問題です。

古いデータ(平成20年)ですが、厚生労働省の統計によると、別居から離婚までの期間は、8割が1年未満となっています。修復を前提とした「冷却期間」の別居は、まずは1ヶ月を目安に考えるのが良いと思われます。

あくまで一般的な例であって、実際は多様です。

参考

厚生労働省:平成21年度「離婚に関する統計」の概況:平成20年の詳細分析 https://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/jinkou/tokusyu/rikon10/02.html (参照日:令和3年2月16日(水)

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