1979年のプロ野球日本シリーズ、広島カープ VS. 近鉄バッファローズの第7戦。どちらも勝てば初の日本一となる試合でした。広島の1点リードで迎えた9回裏。広島は無死満塁の大ピンチに陥りますが、0点に抑えて優勝します。「江夏の21球」として有名なエピソードです。
わかってくれる人がいると前を向ける
以下の引用は、ピンチの際に、衣笠祥雄さん(広島の内野手)が江夏豊さんにかけた言葉です。
「(信用されなければ辞めるという)お前の気持ちと自分も一緒だ。気にするな。中途半端にだけは打たれるな。思いっきり投げて打たれるなら良いじゃないか」
江夏の21球 – Wikipedia より引用(太字は当サイト管理者による)
江夏豊さんは当時、優勝請負人と言われた絶対的な抑えのエースでした。広島が日本一を争う舞台にいるのは、江夏さんナシにはありえませんでした。
ピンチを迎えた広島のベンチは、他の投手に交代の準備をさせました。それを見た江夏さんは、信用されていないとプライドを傷つけられました。
その江夏さんに、「お前の気持ちは俺と一緒だ」と声をかけたのが衣笠さんです。
気持ちを理解してくれるチームメイトがいることで、江夏さんは冷静さを取り戻しました。見事0点に抑えて日本一に輝きました。
子育て期の夫は衣笠祥雄さんになろう
日本では現状、育児・家事の負担は妻に偏っています。
令和3年度雇用均等基本調査1によると、男性の育休取得率13,97%です。増えてはいるものの、女性の85.1%とは比較になりません。
女性に仕事と家事・育児の両立を求める風潮2は根強いです。
子育ての時期は年齢的に、キャリアアップに重要な時期でもあります。将来の不安から、育休取得に踏み切れない男性もまだまだ多いと思われます。
そのような背景から、子育て期の妻はキャパオーバーを免れない現状があります。それでも、歯を食いしばってがんばっています。
子育て期の夫は、「江夏の21球」の衣笠祥雄さんになるべきだと思います。
妻が「これで十分」と思える家事・育児は、多くの夫にとって困難な仕事です。しかし、妻のがんばりを労うなど、精神的に支えることはできるはずです。
夫の「ありがとう」「お疲れさま」「おいしい」の一言が明日への活力になる。カウンセリングルームでは、そのようにおっしゃる妻にしばしば出会います。
子育て期の夫は、衣笠さんになりましょう。
1.令和3年度雇用均等基本調査|厚生労働省 https://www.mhlw.go.jp/toukei/list/71-r03.html (令和5年6月12日(月)閲覧)
2.「女性だけに仕事と家事・育児の両立を求める風潮に疑問を感じる」が49.9%(連合の「非正規雇用で働く女性に関する調査2022」) | 社会保険労務士PSRネットワーク https://www.psrn.jp/topics/detail.php?id=21484 (令和5年6月12日(月)閲覧)