夫婦カウンセリングは夫婦2人の同席が必須という先入観があるかもしれません。必ず2人でなければならないということはありません。家族療法によるカウンセリングは、家族・夫婦の関係性・相互作用に焦点を当てます。1人でも夫婦カウンセリングを行うことが可能です。
1人で来談される理由
夫婦カウンセリングを考えるのは通常、夫婦関係がうまくいっていないときです。「第三者を交えて話し合いたい」と2人が一致している場合は2人で来談されます。しかし、すべての夫婦がそうではありません。
うまくいってない相手に夫婦カウンセリングを持ちかけるのは、心理的な負担が大きいものです。「イヤな態度をされるかも」「怒らせてしまうかも」などのプレッシャーがあると、切り出すのを躊躇するのは仕方ありません。1人でお越しになるケースの一つです。
1人で夫婦関係の改善に取り組みたい方もいらっしゃいます。例えば、うまくいかないのは自分が悪いと自責的になっている方。そもそも改善を望んでいないけれど、子どもが自立するまでは安全な家庭を維持したいといったケースです。
1人で来談される理由には、以下のようなものがあります。
カウンセラーから個人カウンセリングを提案するケース
(2人での)夫婦カウンセリングを希望されても、カウンセラーから個人カウンセリングを提案するケースがあります。最初に挙げられるのは、暴力が起きているケースです。
1人での夫婦カウンセリングとは

家族療法では、夫婦や家族間の相互作用に焦点を当てます。上図の「赤の矢印」の部分です。問題が起きているときには、相互作用の悪循環が起きています。相互作用の悪循環を断ち切ることで解決を目指します。1人のカウンセリングでも、悪循環に働きかけることが可能です。
黄色の部分は、個人の内面に焦点を当てるカウンセリングです。相手から何らかの刺激(上図では赤の矢印)を受けると、思考が生じます。思考に伴う行動を起こします。その行動は相手への刺激になります。相手にも同じことが起こります。それが繰り返されます。
それが良循環であれば、関係は良好です。悪循環であれば、関係が悪いとなります。
悪循環を好循環に変えるには、すべての要素を同時に変える必要はありません。どこか一つが変われば、それを契機に他の要素も変化を始めます。夫婦カウンセリングに取り組むには、2人同席が必須というわけではありません。