夫婦・カップルのコミュニケーションに問題が生じる原因には様々なものがあります(このシリーズの投稿一覧参照)。メタメッセージもその一つです。メタメッセージが異なると、同じ言葉でも意味がまったく異なる場合があります。
メタメッセージとは、状況や文脈、身振りや口調などの非言語メッセージのことです。詳しくは文中で紹介します。
メタメッセージの違いが夫婦のコミュニケーション不全の原因になる例

夫婦・カップルの会話において、「相手に自分の気持ちが伝わっていない」、「なぜか話がうまくいかず、すれ違ってしまう」と感じたり、「ちょっとした言葉でも相手がイライラしているように見える」のは、メタメッセージの違いが原因となっている可能性があります。
例えば、「今日は寒いね」という言葉自体は、ただ気温が低いという事実を述べているだけです。しかし、話し手の声のトーンや表情、状況によっては、
など、様々な意味合いを持つことがあります。
例えば、「疲れているみたいだね」という言葉は、ただ相手の状態を述べているように見えますが、その背景や言い方によっては、
などの意味を持つことがあります。
もう一つ例をあげます。「どこに行ってたの?」という言葉は、言葉は単なる事実確認のように聞こえますが、
などの意味を持つことがあります。
これらのように、同じ言葉でも状況や文脈によって意味が変わることがあります。メタメッセージを理解することで、夫婦間のコミュニケーションの誤解を減らすことが可能になります。
改めて「メタメッセージ」とは
メタメッセージの意味を辞書で調べると、「あるメッセージがもっている本来の意味をこえて、別の見方・立場からの意味を与えるメッセージ」と記されています(デジタル大辞泉 (C)SHOGAKUKANN 2008)。
言葉の表面的な意味を超え、その背景や周辺情報から伝わる「隠されたメッセージ」と言い換えることができます。日常の会話において、ただ話している言葉だけではなく、その言葉に関連する多くの要素が実際のコミュニケーションに影響を与えています。
メタメッセージを構成する要素
メタメッセージの役割と注意点
メタメッセージは、言葉だけでは伝えきれない感情やニュアンスを補足し、相手とのつながりを深める役割を持っています。「お疲れさま」の一言でも、その場の雰囲気、言い方、タイミングなどが、相手にどう受け取られるかを大きく左右します。
メタメッセージは、言葉だけでは伝えきれない感情やニュアンスを補足しますが、一方で、メタメッセージに頼りすぎることは、相手に察することを求めることになります。ときには自分の伝える責任を相手に転嫁することにもなりかねません。
また、発達障害の人は、メタメッセージを読み取る力が弱いことが少なくありません。発達障害のパートナーに大使邸は、メタメッセージに頼るのではなく、言葉で明確に表現することが求められることが多いです。
メタメッセージが大きな影響を持つ会話のテーマ

メタメッセージは、感情や関係性が重要になる場面、あるいは言葉だけでは伝えきれないニュアンスが必要な状況で大きな影響を持ちます。特に、恋愛や謝罪、社交の場面では、非言語的な要素が言葉以上に相手に伝わり、関係性に大きな影響を与えます。
言語が大きな影響を持つ会話のテーマ

言葉による情報の重要性が高まるのは、正確さや具体性が求められる場面です。専門的な会話や教育、法律、技術、緊急時などでは、曖昧なメタメッセージに頼ることがリスクを伴うため、言葉が中心になります。
メタメッセージの誤解を避けるためにできること
身も蓋もありませんが、メタメッセージにより意識的になることです。
メタメッセージを意識する習慣
相手の反応を観察し、自分の伝え方がどのように受け取られているかを振り返ります。相手が自分の言葉をどのように感じているかに敏感になることで、誤解を未然に防ぎやすくなることが期待できます。
意図を直接的な言葉で補足する
メタメッセージを明確にするためには、自分の意図を直接的な言葉で補足することが効果的です。例えば、「今の言い方で不快にさせてしまったかもしれないけど、その意図はない」といった言葉を使うことで、誤解を防ぎやすくなります。
その都度確認する
都度、理解の確認を行います。例えば、「あなたが感じていることをもっと知りたい」とか「今の話で気になったことはある?」といった確認の言葉を使うことで、相手が自分の言葉をどのように受け取ったかを確かめることができます。お互いの理解を深め、誤解を減らせるはず。
話し合いの環境を整える
また、誤解を避けるためには、お互いが落ち着いて話し合える環境を作ることも大切です。やり残した仕事や家事など、気がかりなことがある状態では会話に集中できません。焦りが言葉足らずをもたらしがちです。コミュニケーションがむずかしくなっている場合は、他の一切を脇に置いて、会話に集中できる時間を設けることが有効です。夫婦・カップルカウンセリングの意義の一つは、会話に集中できる環境を持つことでもあります。
まとめ
夫婦・カップルのコミュニケーションにおいて、メタメッセージは重要な役割を果たします。言葉そのもの以上に、その背後にある声のトーンや表情、状況などの要素が、相手にどう受け取られるかを大きく左右します。特に、感情や関係性が絡む場面では、メタメッセージが誤解を招くことが多く、コミュニケーションの不全に繋がることがあります。
メタメッセージを意識的に理解し、相手の反応を観察することで、誤解を減らすことが可能です。また、意図を言葉で補足することや、その都度確認を取ることも、メタメッセージの誤解を防ぐ有効な手段です。さらに、話し合いの環境を整えることで、お互いが落ち着いてコミュニケーションに集中できる場を作ることも大切です。
メタメッセージを上手に扱うことで、夫婦・カップル間の理解が深まり、信頼関係の強化につながります。非言語的な要素に対して敏感になり、意図を明確に伝える姿勢を持つことで、より良いコミュニケーションを築いていくことが期待できます。